つみたてNISAを始めてみようと思っているのですが、自分みたいな初心者でも大丈夫でしょうか?自分に合っているのか不安です…。
近年、2000万円問題やコロナ禍による社会情勢悪化、物価高、賃金低下など身の回りの状況の変化から、『自分や家族の将来のために今からお金を作っておこう』と投資に関心を持ち始める方が非常に多くなりました。
しかしながら興味や関心はあるものの、つみたてNISAがどういうものなのかあまり理解していない人や、投資=怖いというイメージをなかなか払拭できていない人がいるのも事実です。
そんな方々に向けて、今回はつみたてNISAのメリット・デメリットをしっかりと解説し、最後におすすめできる人も紹介していますので是非最後まで読んでください。
今回もバッチリお悩みを解決していきますよ!
つみたてNISAってどんなもの?
つみたてNISAは、2018年1月からスタートした税制優遇制度であり、「少額投資非課税制度」とも言われています。
通常の証券口座を使った投資であれば、株式・投資信託の利益に対して20.315%の税金が必ずかかってきますが、それがNISA口座であれば利益に税金がかからないというのが大きな特徴です。
このように他の投資と違って非課税にできる理由は、国民の資産形成を手助けするために金融庁が推奨しているからです。
非課税という大きな特徴を持ったつみたてNISAですが、利用できる人・金額や期間などが細かく設定されています。
以下に運用上の条件をまとめてみました。
対象年齢:日本在住の20歳以上
口座開設数:1人1口座
非課税期間:最長20年
非課税枠:40万円まで
非課税対象:売却益・分配金・配当金
対象商品:国が定めた基準を満たした投資信託
投資方法:積立購入
なんか沢山ありますね…覚えるのが大変そう…
まずは『非課税枠が年間40万円まで』と『非課税期間が最長20年』の2つを覚えておきましょう!
つみたてNISAの3つのデメリット
つみたてNISAは一般的な投資と違って税制優遇されるところが大きな魅力であり特徴と言えます。
しかし、どんな投資にも必ずデメリットが存在するはず…。
「こんなはずじゃなかった」「ちゃんと勉強しておけば良かった…」となる前に、ここでしっかりと学習しておきましょう!
つみたてNISAには以下3つのようなデメリットが存在します。
- 投資対象がかなり限定的
- 年間の非課税枠の上限が少ない
- 元本割れの可能性がある
それでは、1つずつ解説していきます!
投資対象がかなり限定的
まず、つみたてNISAで運用できる対象商品は、金融庁が指定した長期・積立・分散に適した投資信託のみとなっています。
金融庁が予め「この商品なら比較的安全だよ」と厳選したものだけが対象なので、初心者でも比較的安全に資産運用を始めることができます。
その対象商品とは、日経平均株価・TOPIX・S&P500などの有名なインデックスファンドばかりで、個別株やREIT(不動産投資信託)への投資はできないということを押さえておきましょう。
例えば、日本取引所へ上場している会社(個別株)は約3800社なので投資先に迷うぐらいありますが、つみたてNISAの対象商品は全部で約180本しかなく、店舗型の証券会社や銀行などでは、商品数を5〜10本程度に絞っているのが一般的です。
また、インデックスファンドの平均年間リターンは中・長期的にみて3〜5%程度が目安とされています。これはもちろん投資対象によって若干変わりますが、「つにたてNISAなら大体このぐらい」ということを押さえておきましょう!
「もっと高いリターンを目指したい」と思う方にとっては、インデックスファンドではなく、アクティブファンドや個別銘柄の方が合っていると言えます。
年間の非課税枠の上限が少ない
つみたてNISAでは、年間の非課税枠(上限額)が40万円までと制限されています。
つまり、月33,333円の積立が上限となり、証券会社によっては月33000円が上限に設定されているところもあります。
ある程度まとまった投資資金をお持ちの方・毎月上限まで投資しても家計に余裕がある方にとっては、この40万円という枠は少し物足りないと感じてしまう可能性があります。
そんな方には、年間非課税枠120万円・最長5年間(最大600万円まで)投資できる『一般NISA』の利用を検討してみるのもいいかもしれません。
非課税期間が長いつみたてNISAがいいのか、非課税枠が多い一般NISAがいいのかは、ご自身のライフプランに合わせて考えてみましょう!
元本割れの可能性がある
つみたてNISAは、国民の資産形成を手助けするために作られた金融庁推奨の資産運用方法ですが、あくまでも『投資』であるため元本の保証は一切ありません。
- 元本とは、元手となったお金(金融商品の購入代金)のことで、元本割れとは、購入した金融商品の評価額が相場の価格変動により当初の購入代金を下回ること。
もしも元本割れして評価額がマイナスになったとしても、金融庁をはじめ証券会社や銀行などの金融機関が何らかの補填をしてくれることはありません。
この元本割れに関して、おもしろいデータが金融庁HPに掲載されているのでご紹介します。
出典:教えて虫とり先生【第3回 虫とりさんはどんな投資をしているのですか?】
内容は、国内外の株式・債券に毎月積立で国際分散投資を5年間した場合・20年間した場合の2パターンの元本割れの確率についてです。
- 5年間の国際分散投資の収益率は年率-8%~+14% → 100万円が72万円~173万円
- 20年間の国際分散投資の収益率は年率+2%~+8% → 100万円が185万円~321万円
このように国際分散投資を長期的に行うことで、年率の平均リターンはプラス方向に安定する確率が高いということが示されています。
つみたてNISAが『長期・積立・分散』であるのは、このような根拠あるデータに基づいているのですね!
その通り!だから投資初心者でもリスクを抑えて投資することができるよ!
つみたてNISAの3つのメリット
非課税が大きな特徴のつみたてNISAですが、非課税ということ以外に3つのメリットが存在します。
そんな3つのメリットを以下にまとめたので、早速みていきましょう!
- まとまった資金がなくても小額から資産形成を始められる
- 運用するだけで勝手にリスク分散ができる
- いつでも売却・解約ができため資金ロックされない
それでは、1つずつ解説していきます。
まとまった資金がなくても小額から資産運用を始められる
証券会社によって最低金額は異なりますが、少額から投資を始められるというメリットがあります。
つみたてNISAの非課税限度額は年間40万円に設定されていますが、限度額いっぱいまで必ず使い切らないといけないというわけではありません。
これまでは『投資』と聞くと、お金を持った人がやるイメージでしたが、つみたてNISAは100円から投資できる証券会社もあるので、まとまったお金が無くても手軽に始めることができるでしょう。
100円や1000円から始めることで自分のリスク許容度に合った無理のない資産運用ができるはずです!
運用するだけで勝手にリスク分散ができる
つみたてNISAは、分散投資と定期・定額購入でリスク分散ができるように設計されています。
分散投資
つみたてNISAの投資商品はあらかじめ金融庁が厳選しているものなので、比較的安全に資産運用をすることができます。
『日本株式(日経平均)』と『米国株式S&P500』の2つの投資商品を例に見てみましょう。
このようにつみたてNISAの投資商品は、少数の銘柄に集中投資するのではなく、数百社という色んな業種と会社に投資するような商品が非常に多いので簡単にリスクを分散させることができます。
- 日本株式(日経平均):日本の優良225社に分散投資していることになる。
- 米国株式S&P500:アメリカを代表する500社に分散投資していることになる。
分散投資って最強じゃないですか!
分散投資はリスク軽減を簡単にできる反面、得られる利益が小さくなってしまうところには注意が必要だよ!
定期・定額購入
投資の本やネットにはよく『安く買って、高く売る』『損小利大』なんてことがよく書かれていますが、これは決して簡単なことではありません。
そこで初心者でも簡単に実践できる有効な手段として、ドルコスト平均法が挙げられます。
ドルコスト平均法では、毎日・毎月といった一定の期間を決めて、その期間に沿って定額購入していくだけのシンプルな手法です。
毎月1万円を積み立てる場合
- 基準価格5000円の場合、積立金1万円÷基準価格5000円=2単位購入
- 基準価格1000円の場合、積立金1万円÷基準価格1000円=10単位購入
このように基準価格が高いときは購入単位数を抑えられて、安いときは購入単位数を増やすことができるので、長期積立であれば暴落を過度に恐れる必要が無くなります。
『株価は市場平均に回帰する』と言われているように、一時的に暴落・暴騰しても時間をかけて適切な価格に戻ると考えられています。
いつでも売却・解約ができため資金ロックされない
結婚・出産・病気など、人生において色んな場面でまとまったお金が必要になる場合がありますよね。
つみたてNISAでは、いつでも売却・解約をすることができますし、積立金額の変更・停止も自由にできるようになっています。
とは言うものの…つみたてNISAは長期運用をすることで、リスク軽減と複利効果を最大限に発揮できるので、途中解約することでこういった恩恵を受けられなくなるところには注意が必要です。
そういえば、NISAとよく比べられるiDeCoはどうなんでしょうか?
NISAと同じ非課税制度としてセットで紹介されることの多いiDeCo(イデコ)。
iDeCoは、掛金が全額所得控除されるなどのメリットがありますが、原則60歳まで解約(引き出し)ができないというデメリットがあるので、急なライフサイクルの変化には対応することができません。
つみたてNISAはこんな人にオススメ!
「何となく資産運用始めよう」ではダメなんですか?
決してダメではないけど、つみたてNISAみたいな長期投資を続けていくには、今から紹介するような明確な理由や目標を持っていると続けやすいと思うよ!
そこで、つみたてNISAを特にオススメできる人を3つ挙げてみました。
- 老後資金を今から準備しておきたい方
- 教育資金を貯めておきたい子育て世代
- 銀行預金より少しでもお金が増えて欲しいと思う方
それでは、1つずつ丁寧に解説していきますね!
老後資金を今から準備しておきたい方
これまでは、定年を迎えれば現役時代に納めた額に応じてしっかりと年金が貰え、のんびり暮らすことが可能な時代でした。
しかし最近では、年金受給額の減額や公的年金が破綻するかもしれないといったニュースを聞くと、将来の不安は煽られるばかりで、老後に希望を持つ方が難しい時代に突入してきています。
実際のところ、公的年金が破綻するというのは少々大袈裟で可能性としては極めて低いものの、今後ますます加速する少子高齢化によって受給額の更なる減額や、年金支給水準自体の低下というのはかなり現実的な話です。
既に年金だけに頼って生活するということが現実的でない世の中になりつつあるということは、65歳〜69歳の就業率が8年連続で上昇(2020年時点)しているというデータからもみてとれそうです。
出典:高齢者の就業 総務省統計局
こういった現状を考えると、現役世代の間に老後資金を準備しておくのは妥当な判断と言えます。
若い世代からやっておかないとまずいことになりそうですね…
焦らなくても大丈夫!50歳から始めたとしても、定年(65歳)までの15年間で運用すれば、つみたてNISAの恩恵を十分受けることができるよ!
教育資金を貯めておきたい子育て世代
子供1人を20歳まで育てるためには、約2000万円〜4000万円必要と言われています。
特にお金がかかると言われる高校・大学の教育費。
子供が大きくなるにつれて、部活動や塾・学費・受験など、まとまったお金が必要なタイミングも増えてくるでしょう…。
数十万円の支払いを毎回その場凌ぎで乗り越えるのはかなり厳しいものがあるので、こういった時のために子供が産まれたタイミングで少額からでも積立投資を始めることをオススメします!
仮に15年間運用したとすると、子供は中学3年生なので、受験に掛かる費用や高校生活で掛かる教育費をカバーすることができるので、家計への負担を軽減することができます。
30歳から15年間は教育費として積立、45歳から20年間は老後資金としての積立というように計画的に運用することも可能ですよ!
銀行預金より少しでもお金が増えて欲しいと思う方
数十年前は、ただ銀行にお金預けているだけで資産がどんどん増えていく世の中でした。
比較的安全と言われているインデックスファンドですら年利3%〜5%であるのに対し、1974年の銀行定期金利は8%、1990年は6%というようにノーリスクで投資を超えるリターンがありました。
今もこんな世の中であるなら、わざわざリスクのある投資を進めたりはしませんし、やりたいと思う人も多くないはず…。
しかし現在の定期預金の平均年利は0.003%、普通預金の平均年利は0.001%まで落ち込んでいます。
0.001%ということは、100万円を1年間銀行に預けたとしても10円(税引き前)にしかならない計算になるね!
必要以上に銀行に預けておくのは勿体無いと思えてきました…!
20年間の国際分散投資の収益率が年率+2%~+8%になるという金融庁のデータからも、銀行口座にお金を眠らせておくより、投資に回している方が効率的に資産を増やすことができる可能性があると言えるでしょう。
まとめ
ここまでつみたてNISAのメリット・デメリットとおすすめできる人をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
ここでもう一度おさらいをしておきましょう!
つみたてNISA 3つのデメリット
- 投資対象がかなり限定的
- 年間の非課税枠の上限が少ない
- 元本割れの可能性がある
つみたてNISA 3つのメリット
- まとまった資金がなくても小額から資産形成を始められる
- 運用するだけで勝手にリスク分散ができる
- いつでも売却・解約ができため資金ロックされない
つみたてNISAをおすすめできる人
- 老後資金を今から準備しておきたい方
- 教育資金を貯めておきたい子育て世代
- 銀行預金より少しでもお金が増えて欲しいと思う方
この記事を通して終始変わらず、金融庁も推奨しているつみたてNISAは比較的安全な投資とお伝えしてきました。
だからと言ってデメリットがないわけではなく、比較的安全とは言え『元本割れリスク』があったり、分散投資によってリターンが低くなってしまうという面もあります。
こういったデメリットもしっかり把握した上で、つみたてNISAを利用し、自分や家族の将来のために今からお金を作っていきましょう!
今回はここまでです!最後まで読んで頂きありがとうございました!
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