ブロックチェーンって仮想通貨の話でよく出てくるけど、何のことなのかさっぱり…。どんな仕組みなのか教えてほしい!
世界初の仮想通貨(暗号資産)であるビットコインには、今回お話するブロックチェーン技術が使われており、この技術は主に仮想通貨(暗号資産)の取引履歴をネット上で管理するために使用されてきました。
現在では、ブロックチェーンの仕組みを活かし、幅広い分野への導入・活躍が期待されています。とは言っても、やはりとっつきにくく「難しそうだな…」と思われる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ブロックチェーンの仕組みを3つの特徴とデメリットに分けて詳しくお話していきますね。
*本記事の作成者*
本記事を書いている私は、ブログ・情報発信をメインに取り組んでいる副業歴7年目の会社員です。
2年間の副業コンサルタント経験があり、これまでに100名以上の方の副業相談を行ってきました。
そんな経験を活かし、みなさんに「参考になった」と言っていただける記事作成を心がけています(^^)
前置きはこの辺にして、本題に進んでいきましょう!
ブロックチェーンの基本的な仕組み(概要)
冒頭でもお伝えした通り、ブロックチェーン技術は、主に仮想通貨(暗号資産)の取引履歴をネット上で管理するために使用されてきました。
詳しくお伝えする前に、ブロックチェーンとはどんなものか?その仕組みについての概要から理解していきましょう!
まず暗号化した取引履歴を1つの情報(1つのブロック)としてまとめます。この1つのブロックには、その時の情報だけでなく、過去の情報(過去情報の要約的なもの)も含めて作成されます。
現在と過去の情報を1つのブロックに集約し、1つ1つのブロックを時系列に鎖(チェーン)のように連ねることから『ブロックチェーン』と呼ばれています。
ある取引履歴の改ざんを行おうとした場合、鎖で繋がったブロック全てを改ざんしないといけないため、データ改ざんなどの不正行為に対して、非常に優れた耐性を持っています。
また従来の管理システムである中央集権型ネットワークではなく、利用者全員が常に同期・更新された情報を持ち、互いに監視し合う非中央集権型ネットワークを構築しているため、世界のどこかで一部のシステムが停止しても、全体に与える影響がほとんどない状態で稼働し続けることができます。
3つの特徴からブロックチェーンの仕組みを理解する
まずはじめに、日本ブロックチェーン協会が2016年に提示した『ブロックチェーンの定義』について見ていきましょう。
1)「ビザンチン障害を含む不特定多数のノードを用い、時間の経過とともにその時点の合意が覆る確率が0へ収束するプロトコル、またはその実装をブロックチェーンと呼ぶ。」
1) A blockchain is defined as a protocol, or implementation of a protocol, used by an unspecified number of nodes containing Byzantine faults, and converges the probability of consensus reversion with the passage of time to zero.2)「電子署名とハッシュポインタを使用し改竄検出が容易なデータ構造を持ち、且つ、当該データをネットワーク上に分散する多数のノードに保持させることで、高可用性及びデータ同一性等を実現する技術を広義のブロックチェーンと呼ぶ。」
引用元:https://jba-web.jp/news/642(日本ブロックチェーン協会)
2) In a broader sense, a blockchain is a technology with a data structure which can easily detect manipulation using digital signatures and hash pointers, and where the data has high availability and integrity due to distribution across multiple nodes on a network.
すごく難しく書かれていますが、この定義は3つの特徴に分けて簡単にまとめまることができます!
- 不正行為・データの改ざんが非常に難しい
- システムダウンの可能性がほぼない
- 非中央集権型ネットワーク(特定の管理者が存在しない)
それでは3つの特徴を順に見ていきましょう。
不正行為・データの改ざんが非常に難しい
ブロックチェーンに一度記録された情報を改ざんすることは非常に難しいと言えます。
それは『ハッシュ』『デジタル署名』という技術で実現しています。
ハッシュ
ハッシュとは、データの暗号化技術であり、ハッシュ関数という計算式を用いてハッシュ値を導き出します。
このハッシュ値はデータの特定に長けているので、データ改ざんや不正行為を検出しやすい特徴を持っています。
私たちが普段同じ文字と判断するものでも、入力する文字の大きさ・種類が少し変わるだけで全く違うハッシュ値が導き出されるので、視覚的にすぐに判断することができます。
私たちの文字解釈と、暗号化技術の文字解釈はここまで違うということを押さえておきましょう。
以下3つは適当に私が文字を羅列したのではなく、実際にハッシュ値を導き出したものです。
- 全角の『1』:58110af8933d6ffe9f1609a07a5bed4240cc2b53881d88dd728ab17756023f93
- 半角の『1』:6b86b273ff34fce19d6b804eff5a3f5747ada4eaa22f1d49c01e52ddb7875b4b
- 漢数字の『一』:51a75f4634dfa8598a0a1436da0b7764830edd1f3a97661222387da2fe2b38d1
- ビットコインで使用されている『sha256』アルゴリズムを用いて、数字の『1(いち)』のハッシュ値を算出。
このように誰かが少しでもデータに手を加えると、全く違うハッシュ値になるので、元データのハッシュ値と比較することで簡単に改ざんを検出することが可能です!
このようなハッシュの特性を活かすことで、改ざん耐性を高めています。
デジタル署名
デジタル署名とは、その名の通り、デジタル文書などの作成者を示すための電子的な署名のことです。
署名者には『公開鍵』、受信者には『秘密鍵』と呼ばれるペアキー(対の電子鍵)をそれぞれが持つことになります。署名者は『公開鍵』を使ってデータに署名を行い、受信者は『秘密鍵』を使い署名者のデータであることを確認します。
このようにデジタル署名を利用することで、なりすましなどの不正行為を防ぐことができます。
システムダウンの可能性がほぼない
P2Pネットワークの説明の前に、まずは私たちが主に生活で利用しているネットワーク構造を考えてみましょう。
私たちは今も昔も変わらず『サーバー・クライアント方式(中央集権型ネットワーク)』を主に利用し生活しています。
みなさんが利用する銀行を例に挙げてみましょう。皆さんの預金口座は、銀行側が主体となって管理し、銀行側から通帳を受け取り、ATMやネットバンキングを利用して入出金を行っているはずです。
そんな中で、銀行側のサーバーやネットワークに障害が発生したときに問題なく出金できるでしょうか。何らかの障害でうまく処理されなかったり、遅延が発生したりした経験がある方もおられると思います。
なぜこんなことが起こるかというと、問題なく稼働できるかどうかは全て管理者側にかかっているからです。これが『サーバー・クライアント方式(中央集権型ネットワーク)』の問題点です。
これらの問題点を解決・改善するために各企業は以下のような対策を行う必要があります。
- 高速かつ大量のデータを処理できるようにサーバーを強化
- 障害発生時も早期復旧の為のために複数台のサーバーを維持・管理
- ネットワーク障害にも備えて、複数回線を維持・管理
このようなシステム運営には、多額の設備費・維持管理費が必要となり、システム自体もどんどん複雑化していきます。
P2P(Peer to Peer)ネットワーク
一方のブロックチェーンは『サーバー・クライアント方式(中央集権型ネットワーク)』が持っている問題点を簡単に解決することができます。
それを可能にしているのが『P2P(Peer to Peer)ネットワーク』と呼ばれる技術です。P2Pネットワークは、最新技術などではなく既存システムの1つですが、以下3つの優れた特徴を持っています。
- 実質ゼロダウンタイム(24時間365日動き続ける)
※ビットコインは誕生した2009年から一度もサーバーダウンすることなく、ゼロダウンタイムを証明し続けている。 - 低価格でシステム構築が可能
- 非中央集権型ネットワーク(特定の管理者が存在しない)
ブロックチェーンを語る上で、P2Pネットワークは非常に重要なポイントです。しっかり抑えていきましょう!
P2P(Peer to Peer)とは、対等な機能を持ったコンピューターが1対1で直接通信を行うことを言います。そしてP2Pで繋がっているコンピューターは複数台で網目状の通信ネットワークを構築しており、これがP2Pネットワークと呼ばれています。
P2Pネットワークには、サーバー・クライアント方式のような特定の権限を持った管理者が存在するわけではなく、あくまで全員が対等な存在であり、全員で管理を行なっていきます。そのため特定のコンピューターに処理や負荷が集中することがありません。
そのほかに、特定のコンピューター障害・ネットワーク障害が発生し、一部が停止し復旧が困難な場合であっても、P2Pネットワークであれば通常通りの処理・通信を継続することが可能です。
これは複数の対等な機能と権限を持ったコンピューターがネットワーク内に存在し、システム分散が効いているからこそ、ブロックチェーンは止まることなく動き続けることができるのです。
この複数の対等な機能と権限を持ったコンピューターの存在は、低価格なシステム構築にも非常に役立ちます。
先述の通り、サーバー・クライアント方式は、問題なく稼働できるかどうかは全て管理者側にかかっています。そのために多額の設備費や維持管理費のコスト面と、システム自体の複雑化が問題だとお伝えしました。
P2Pネットワークに参加している各々のコンピューターは、サーバー・クライアント方式のように特定のコンピューターが特別な役割や能力を持っているわけではないため、比較的安価に抑えられます。
全員で管理と処理を補うように運用できるので、わざわざシステム構築を複雑化する必要もありません。
非中央集権型ネットワーク(特定の管理者が存在しない)
先ほどに続き、P2Pネットワークの『非中央集権型ネットワーク』を活かした特徴です。
サーバー・クライアント方式では、情報はサーバー(特定の管理者)が一括管理し、アクセス権などの権利付与も行います。一方、P2Pネットワークでは、特定の権限を持つサーバーは存在せず、全ての参加者が情報を共有し、誰でもその情報にアクセスできる仕組みになっています。
つまりこのように考えることができます。
- サーバー・クライアント方式:中央集権型ネットワーク
- P2Pネットワーク:非中央集権型ネットワーク
このようにP2Pネットワークの活用は、情報の独占や隠蔽・権力の集中を防ぐことが可能です。これは仮想通貨(暗号資産)の取引において、取引の透明性や信頼性を担保するものとなっています。
ブロックチェーンに使われているハッシュ・デジタル署名・P2Pネットワーク、これらは全て目新しい技術ではありませんが、うまく各々の特徴を組み合わせることで素晴らしい仕組みを構築しているんです!
ブロックチェーンの仕組みが完璧とはいえない3つのデメリット
ここまで読み進めて頂くと分かりますが、ブロックチェーン技術は非常に素晴らしいものです。
しかしながら、ブロックチェーン技術は100点満点の完璧なシステムではありません。
- 普及に伴い、データが巨大化し続ける
- 一度記録されたデータは削除できない
- 中央集権型ネットワークに比べ処理速度が遅い
ここからは、ブロックチェーンが抱える課題(デメリット)をお伝えしていきます。
普及に伴い、データが巨大化し続ける
現在はブロックチェーンが各分野にまだ普及段階であることから、差し迫った問題ではありません。
しかし今後、ブロックチェーンの活用が進めば進むほどにP2Pネットワークを飛び交う通信量は増化し、膨大なデータ量の取引履歴が蓄積され続けます。
ということは、今まで以上にコンピューター・ネットワーク環境の性能向上が求められるようになります。ブロックチェーンの普及には、こういった技術的な側面が大きな鍵となってきます。
ブロックチェーンを普及させるには、コンピューターやネットワークの高速化や大容量化をセットで考えないといけませんね…。
一度記録されたデータは削除できない
改ざん耐性に優れているブロックチェーンですが、これは時と場合によってはデメリットと化します。
一度記録されたデータは、少しの誤入力ですら取り消しが効きません。
特に、個人情報を取り扱いはかなりの注意が必要です。個人情報は本人の請求に応じて削除義務が個人情報保護法によって定められているのですが、ブロックチェーンでこれを運用した場合は、二度と削除ができなくなってしまうからです。
もちろん、ハッシュによって暗号化された状態を維持するものの、P2Pネットワーク上の全ての参加者にその情報が行き渡ってしまいます。
もしも悪意あるハッカーが、P2Pネットワーク内に紛れ込んでいた場合は、非常に厄介な事件に繋がる危険性を実は秘めているんです。
個人情報を扱う場合は、本人と紐づく情報のみをブロックチェーンに記録し、個人情報自体は別のデータベースに保管させるなどの対応・対策が必要になってきます…。
中央集権型ネットワークに比べ処理速度が遅い
ブロックチェーンは、データ量が膨大になればなるほど、処理速度に悪影響を及ぼす可能性があると考えられています。
中央集権型ネットワークの場合、処理速度が遅くなれば設備費を投じて、高スペックのサーバーを用意すれば解決できる問題です。
しかしP2Pネットワークを利用するブロックチェーンでは、参加者個々のコンピューターに処理速度が依存するために悪影響が出やすいとされています。
仮想通貨(暗号資産)では、定期的なアップデートで処理速度改善に取り組んではいるものの、それなりの時間が必要なのが大きな課題です。
まとめ:今後は私たちの生活を支える技術の1つになるかもしれない
今回は、ブロックチェーンの特徴とデメリットを3つに分けて詳しくお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
非常に優れたブロックチェーンの技術は『インターネット以来の発明』とも言われています。本記事をここまで読み終えた方は、その意味が少しばかり理解できたのではないでしょうか。
すでに仮想通貨(暗号資産)以外でも、金融、電力、医療、農業、不動産、選挙など、様々なジャンルでの活用が進んでいます。
様々なジャンルで活躍できる優れたブロックチェーン技術ですが、個人情報の取り扱いには注意が必要で、これから対策を講じていかなければならない点もあります。
今後の普及具合によっては私たちの生活を支える技術の1つになるかもしれませんし、それは案外近い未来なのかもしれません。
そのためにも、今からブロックチェーンに関する知識をしっかりとつけておきましょう。
今回はここまでです。最後まで読んで頂きありがとうございました!
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