IPO投資は『利益を出しやすい』と聞いたのですが…私みたいな初心者でも本当に稼げるんでしょうか?教えてください!
株式投資に取り組んでみようと思っている方の中で、IPO投資を知って興味を持つ方も多いのではないでしょうか。
IPO投資は勝率が高く、利益を出しやすいといわれていることから、初心者のみならず、多くの投資家に人気があります。
でも…実際のところ「本当に儲かるの?」「勝率はどれくらい?」といったポイントも気になるはずです。
実際の過去データを参考にしながら、分かりやすく解説していきますよ!
IPO投資ってどんなもの?
IPOを専門にする個人投資家がいるほど、IPO投資には魅力があり、人気があります。
テクニカル分析やファンダメンタルズ分析といった専門的な知識が無くても、大きな利益を得られる可能性があるため「宝くじ」と例える人もいますが、IPOとは一体どんなものなのでしょうか?
ここではIPOに関する基本的な内容や仕組みを以下3つに分けて解説していきます!
- IPOって何?
- IPOの全体的な流れ
- 初値売りとは?
IPOって何?
IPOとは新規公開株のことで、企業が上場し市場に株式を公開することです。
企業が上場する分かりやすいメリットとして、投資家に株を購入してもらうことで、まとまった事業資金を調達できるというところが挙げられます。
ソフトバンク、LINE、メルカリなど、みなさんが知っているような有名企業も同じようにIPOを行ってきました!
IPOによって公開された株をIPO株といい、これに投資することをIPO投資と言います。
このIPO株を上場前に購入し、上場後すぐに売却する『初値売りを鉄則』にすることで、専門的な知識が無くても大きな利益を得られる可能性があります。
IPOの全体的な流れ
「IPO株を上場前に購入し、上場後すぐに売却する」ことは理解して頂けたと思いますが、IPOはどのような流れで進み、個人投資家は一体どこから参加することが可能なのでしょうか?
IPOの全体的な流れを把握するために、大きく7項目に分けて解説していきます。
- IPOの承認(上場の承認)
- 仮条件の決定
- ブックビルディング(需要申告)
- 公募価格の決定
- 抽選
- 当選・購入申し込み
- 上場
①IPOの承認(上場の承認)
経営状態・株主の人数・管理体制・事業計画などさまざまな厳しい基準をクリアした企業のみが上場を認められます。
『上場が認められる』というのは、それだけで凄いことなんですね!
②仮条件の決定
仮条件の段階では「1000~2000円」というように、IPOを行う企業のおおよその株価を決定します。
③ブックビルディング(需要申告)
個人投資家はここから参加します!
仮条件の価格内で「何人の投資家が何円で何株買いたいのか」を調査します。
各々が「〇〇円で〇〇株を購入します」という意思表示を証券会社に示し、抽選に参加します。
④公募価格の決定
ブックビルディングの結果、需要のあった価格と企業価値を考慮し公募価格が決定されます。
公募価格とは上場の基準となる価格のことで、投資家は決定した公募価格でIPO株を購入することになります。
企業側は『より多くの投資家に株を購入してほしい』という意向から、実際の企業価値よりも割安な公募価格を設定することが多くみられます。
売り出しが割安だからIPOは初値が高くなりやすいんですね!
結果的にこれが高勝率に繋がっていそうだね!
⑤抽選
IPOごとに公開される株式数が決まっているため、購入希望者数が株式数を上回った場合は、抽選に参加して当選しなければなりません。
そもそもとても人気の高い投資方法なので、基本的にどのIPOでも抽選が行われており、公表はされていないものの当選確率は1%を切るとも言われています。
抽選はブックビルディング時に公募価格以上で応募していた人のみが抽選対象となり、3種類の抽選方法の中で各証券会社が設けた方法に従って行われます。
- 平等抽選 ⇒ 申し込み数などに関係なく1人1票の抽選権が平等に与えられる
- 口数比例 ⇒ 申込数に応じて、当選確率が上がる
- ステージ ⇒ 証券口座の資産残高や取引状況に応じて、抽選票数も多くなる仕組み
口数比例やステージは、資産の多い人が圧倒的に有利になりそうですね…
だからこそ抽選方法の確認は必須だし、中でも初心者には平等抽選で臨むことをオススメするよ!
⑥当選・購入申し込み
抽選の結果、当選すればIPO株の購入権利が手に入ります。
当選通知が来たら忘れずに手続きを済ませましょう!
⑦上場
購入申し込みが済めば、あとは上場日を楽しみに待つのみ!
上場日、市場で最初につく株価を『初値』と言い、初値で売却することを『初値売り』と言います。
IPO投資では『初値売り』が鉄則でしたね。
初値売りをせず保有するという選択肢もありますが、上場後の値動きは非常に激しく、到底初心者が耐えられるようなものではありません。
また、初値が高値となって下落し続けるということもIPOでは全く珍しいことでは無いので、専門的な知識が無いうちは初値売りでサクッと決済してしまうことを推奨します。
どうしても保有したい場合は、必ず売却価格(損切り・利確位置)を決めておきましょう!
初値売りとは?
上場後すぐに売却する『初値売り』、この方法はIPO投資をする多くの投資家が実践している方法です。
前項でも触れたように、IPOでは多くの投資家に株を購入してもらうために実際の企業価値よりも割安な株価が設定されるので、初値が公募価格を上回りやすくなっていると考えられています。
こういった理由から、当選したIPO株を『初値売り』するだけで利益を得られる可能性が高いということです。
IPO投資が儲かると言われるのは、このような背景がありそうですね!
しかしながら、初値が公募価格を上回る可能性が高いとはいえ、必ずしもそうなるわけではありません…。
当然、初値が公募価格を下回ることもあるので、自分がどのような企業に投資しようとしているのかを理解し、検討することも重要です。
「IPO投資は儲かる」は本当?
利益を出しやすいと言われるIPO投資ですが、本当に儲かるのでしょうか?
実際の過去データを確認しながら、以下3つの項目に分けてお伝えしていきます。
- IPOの勝率は8割を超えている
- 公募価格の10倍以上をつける銘柄もある
- 利益は確約されていない
IPOの勝率は8割を超えている
初値売りをした際の過去4年間の成績を見ていきましょう。
- 2018年:勝率88.9%(90社上場 80勝10負)
- 2019年:勝率88.4%(86社上場 76勝10負)
- 2020年:勝率74.2%(93社上場 69勝24負)
- 2021年:勝率82.4%(125社上場 103勝22負)
2020年はコロナショックの大暴落が要因となり勝率80%を切ったと考えられそうですが、それでも過去4年間で初値売りの勝率は83.5%となっており、約7割が負けていると言われている投資の世界の中で、IPO投資は驚異的な勝率を維持し続けていることがわかります。
公募価格の10倍以上をつける銘柄もある
2020年9月上場のヘッドウォータースは、公募価格2,400円⇒初値28,560円と11.9倍の値上がりを見せました。
仮にこのIPO株を100株購入していたとすると、24万円⇒285.6万円になっていたことになります。
初値売りをするだけで、1日で261万円の利益!すごい…。
このように大きな利益を簡単に得られる可能性があるのはIPOの醍醐味と言えるでしょう!
実際のところ10倍以上の銘柄というのは珍しい部類に入りますが、初値が公募価格の2倍・3倍になることは決して珍しいことではありません。
- 2022年4月上場 サークレイス:公募720円⇒初値2320円【3.2倍達成】100株利益+16万円
- 2022年5月上場 トリプルアイズ:公募880円⇒初値2200円【2.5倍達成】100株利益+13.2万円
- 2022年6月上場 ANYCOLOR:公募1530円⇒初値4810円【3.1倍達成】100株利益+32.8万円
最近を振り返っても、毎月のように初値で2倍・3倍がありますね!
初値売りをするだけで数十万円の利益を手にできる可能性は、年間を通して案外多く転がっていそうです。
利益は確約されていない
これはIPO投資に限らずですが、投資をする上で損失リスクは常に考えておかなければなりません。
元本保証されている保険商品や銀行定期預金は例外として「絶対に儲かる」というのは、危険な思考と言えるでしょう。
IPO投資でいえば、初値価格が公募価格を下回る『公募割れ』が毎年一定数は出ています。勝率が約80%ということからも推測できるように、約20%は公募割れを起こしているのです。
例えば、2022年6月では12社が上場をしたものの、5社が公募割れを起こしています。
あくまで投資ですので、『IPO投資は勝率が高く、初値売りというシンプルな方法で利益を上げやすい』程度に留めておきましょう。
公募割れ銘柄の共通点とは?
前項で「利益は確約されていない」とお伝えしましたが、その要因として公募割れを挙げました。
ここでは公募割れについて理解を深め、いざIPO投資に臨む際に、闇雲にIPO株に手を出して無駄な損失を出さないように、しっかりとした知識をつけていきましょう!
実は…公募割れを起こしやすい会社・時期には共通点があったんです!
どんな共通点なのかを以下3点にまとめました。
- 発行株数が多い会社
- 新興企業が割高と判断されている時期
- 再上場の会社
発行株数が多い会社
新規上場の全てを「IPO」と一括りにしてしまいがちですが、IPOにも小型・中型・大型と規模が存在します。
具体的に何の規模が違うかというと、案件が大きくなるにつれて発行株数が多くなるというところです。
発行株数が多くなると当選確率が高くなるというメリットはあるのですが、その分買いたい人・売りたい人・ホールドしたい人など色んな需要がぶつかり合う為、どうしても株価が上がりにくくなるというデメリットも持っています。
新興企業が割高と判断されている時期
これは中級者以上の話になってしまいますが…(初心者の方には小難しい内容かもしれません。)
『新興企業が割高と判断されている』というのは、特定の企業の話ではなく、新興企業全体が対象の話です。
例えばネットで「今は〇〇セクターに資金が流れている」「〇〇系が人気」という風な発言を見たり聞いたりしたことは無いでしょうか?
そのようなイメージで、「今の新興企業は全体的に割高だ」と多くの投資家が判断した場合、IPOにもその影響が波及し失速しやすくなってしまうということです。
このような判断がされるときは、どんな時なんでしょうか?
ハッキリと「こうなったら!」という言い方はできないんだ…。
株の世界は一企業単独の評価だけでなく、色んな外的要因(社会情勢・主要国の政策・発言など)も複雑に絡み合って株価変動を繰り返すからね。
直近で言えば、2022年6月のIPOラッシュ(ひと月に12社上場)の時期とアメリカの金利上昇や様々な外的要因が被り、新興企業株が割高と判断された結果、新興企業株は全体的に下落しました。
これに吊られるようにIPO株にもその流れが波及し、半数近く(12社中5社)の公募割れを招いたと考えられています。
再上場の会社
一度上場したら永遠に上場していられるわけではなく、どの企業も一定の条件下で上場を許されています。
つまりその条件を満たせなくなった企業は上場廃止となってしまうということです。
上場廃止基準には大きく以下6つに分けられます。
- 上場維持基準への不適合
- 有価証券報告書の提出遅延
- 虚偽記載又は不適正意見等
- 特設注意市場銘柄等
- 上場契約違反等
- その他(経営破綻、破産手続き、反社会的勢力の関与など)
難しい言葉が並んでいますが…わかりやすく言うと「安心して投資できる企業なのか」が基準になっています。
再度条件を満たすことで再上場は可能ですが、一度上場廃止になった企業はそれなりに社会的信用を失っていたり、上場後の成長力に期待が持てなかったりと、どうしてもマイナスイメージが強くなってしまっています。
闇雲に抽選参加せず「再上場銘柄なのか」の調査は重要そうですね!
まとめ
ここまでIPO投資について、IPOの全体の流れや実際の勝率、公募割れなどについて解説してきました。
投資と聞くと、特に初心者の方は「難しそう」「損をしそう」と悪いイメージを抱いてしまいがちですが、IPO投資は実際の過去データを振り返ってみても高勝率を維持し続けているため、当選すれば利益を出しやすい投資と言えそうです。
とはいえ「絶対に儲かる」「当選=利益」のような考え方は少し危険と言えますが、今回お伝えした内容を再度読み返して頂いて、是非学習に活用してください!
最後にこの記事の重要ポイントを確認しておきましょう。
- IPO投資は、過去4年間で勝率8割超の実績を誇る投資方法
- 初値売りでシンプル&短期間で大きな利益を手にできる可能性がある
- 公募割れ銘柄の共通点を意識して、無駄な損失を回避する
私もIPO投資にチャレンジしてみようと思います!
わからないことは何でも質問してね!
今回はここまでです。最後まで読んで頂いてありがとうございました!
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